映画館でだけ流れた「幻のラストシーン」がある
トンネルを抜けたあと、千尋が新しい家に着く場面を確かに見た。そう証言する人が、なぜか大勢いるのです。
噂の内容
2001年夏、日本中が映画館に詰めかけた『千と千尋の神隠し』。興行収入の記録を塗り替え、社会現象とまで呼ばれた大ヒット作です。ところが公開から年月がたつにつれ、ファンの間で奇妙な違和感が語られるようになりました。「あれ、ラストってこんなにあっさりしてたっけ?」。
証言はこうです。トンネルを抜けて車に乗り込んだあと、一家は新しい家に到着する。引っ越しのトラックが待っていて、千尋は新しい学校の方を見上げる。そして、ハクにもらった髪留めがきらりと光る——。そんなエピローグを映画館で見た記憶がある、というのです。
しかし、ビデオやDVD、テレビ放送で見られるラストには、その場面はありません。トンネルを抜け、車が走り去って、エンドロールへ。「劇場公開版にだけ存在し、ソフト化の際にカットされた幻のシーンがある」という噂は、こうして生まれました。
厄介なのは、見たという人の話がやけに具体的なことです。家の外観、段ボール、千尋の表情。ひとりやふたりの勘違いなら片付けられても、あまりに多くの人が同じような記憶を語る。まるで集団で同じ夢を見たかのように、噂はいまも消えずに残っています。ネット上には、その場面を見た時期や劇場まで挙げて語る書き込みも少なくありません。
ささやかれる証拠
「確かに見た」証言の多さ
この噂の最大の特徴は、実際に劇場で見たと語る人が非常に多いことです。しかも内容が似通っているため、単なる思い違いでは説明しきれないと感じる人がいます。
あっさりしすぎた結末
ソフト版のラストは余韻を残して唐突に終わる印象があります。この物足りなさが、もっと続きがあったはずだという記憶を後押ししていると言われます。
ヒット作ゆえの版の違い疑惑
大作映画では、劇場版とソフト版で細部が異なる例が実際にあります。そうした事情を知っている人ほど、この作品にも同じことがあったのではと考えがちです。
表向きの説明
スタジオジブリ側は、劇場版にだけ存在するラストシーンはない、という立場をとっていると伝えられています。劇場公開版とソフト版で本編の結末が異なるという公式な記録も見当たりません。
では、多くの人が見たという光景はどこから来たのでしょうか。よく挙げられるのは、公開前後に流れた予告編やテレビスポット、関連書籍の絵、さらには宮崎駿監督が描いた別の場面のイメージが、記憶の中で本編と混ざり合ったという説明です。人は印象深い作品ほど、自分で補った場面を本当に見たと思い込みやすいとも言われます。それでも、なぜこれほど多くの人が似た記憶を持つのかは、いまも完全には説明されていない不思議です。
ちなみに『千と千尋の神隠し』は、公開から約19年にわたり日本の歴代興行収入1位の座を守り続けました。その記録を塗り替えたのは、2020年公開の『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』です。本作はベルリン国際映画祭の金熊賞と、米国アカデミー賞の長編アニメーション賞も受賞しています。
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さて、あなたはどちらを信じますか。この噂、誰かに話したくなったら